みやうちふみこの詩のページ

あふれる言葉 感動 感嘆 処々 

灯台を観に

 灯台を観に

                   みやうちふみこ

 

最寄り駅に降り立つと

閑散とした空間が

広がって いて

尋ねよう にも

みあたら ない

 

見わたすと 

ターミナル

の、左てに 

みえた、海

 

思わず

見とれていると

時間が過ぎていて

どこからともなく

あらわれた人たちと一緒に

バスに乗る。

 

シャッターで

仕切られた

街 は 

あららしくて

寂しげで

 真と

静か

 

そこにいつもの

街を

垣間

みながら

いつもの

初めての街を

あるいてみる。

 

若葉の光る高台 

海の見渡せるところに

灯台は建っていて

 

トンビが一羽

海の 空高くを

弧を描くように

飛び 

また

戻ってくる

 

あれはむ人とうで

あれは魚せん

あそこに見えるのがちば

むこうに見えるのがよこはま

指さしながら

 女の人が

Oちゃんに

話している。

 

彩も形も

ベランダに咲いた

ほたるぶくろ

そっくりの

貝殻を見つけ

 

砂浜は小さくて

遊歩道に咲く

貝殻色の

花だいこんのたねを摘む。

 

ポケットにしまうと

いいの?と

Oちゃんは、 

問う。

 

その時のまま

灯台はそこに建ち

汀(てい)線ははるか向こうに

きらきら揺らいだままだ

 

 帰りは、赤い電車に乗った。

座った途端、Oちゃんが、 あら ふかふか、 と言った。

それから、駅で見た海 カッコよかったね、と言った。

黙っていたら、お母さん嫌いなんだ あの船、と、また Oちゃんが言った。

売店で買ったお弁当は、「立夏」、2つで1460円。

 

2021年6月6日  (2021年7月27日再推敲)

  みやうちふみこ