みやうちふみこの詩のページ

あふれる言葉 感動 感嘆 処々 

白梅(しらうめ)

   白梅(しらうめ)

 

                      みやうちふみこ

梅のはなは 咲くとき

「ぽっ」と 音がするのだと 

聞いたことがある。

その人 はもういない。

 

白梅(しらうめ)のはなの咲くころ「ぽっ」と 旅にでたのだと風の便りで知った。

 

今年も 白梅(しらうめ)の

咲く季節が近づいてきた。

あの木は元気だろうか

蕾は膨らんできただろうか 

 

「ぽっ」と 白梅(しらうめ)の咲くころになると 

かならず 私のこころには 

あの日の光景が はっきり 

浮かんで くる の です。

 

二月の晴れた 穏やかな日でした。

小さな庭は 顔 顔 顔で

いっぱい だった。

けれど・・・ 

わけの わからないまま

兄の棺が 門出を迎えたとき

風が すーっと 吹いてきて

棺と 喪服をまとった 母の背に 

ひらひら ひらひら ひらひら

白梅(しらうめ)のはなびらを散りばめて

 

うつむいたら 足元に 黄色いはなが咲いていて・・・

 

あれは 仕組まれた

ショーだったのだろうか

悲しすぎるほど 美しいい光景だった。

 

最後の悪戯だったのだろうか。

 

あの日から 5年過ぎて

母も旅にでて 会えたのだろうか 

ぷっつり 

風の便りもとだえてしまった。

 

あの世でも「ぽっ」と咲く 

白梅(しらうめ)を 愛でることができるのだろうか。

糸電話でお話しできますか?

                 

 

 

                         宮内 文子

 

                2021年2月7日詩の教室投稿

                2021年3月7日推敲